Japanese
English
研究と報告
特異な精神症状を呈したMELAS型ミトコンドリア脳筋症の1例
A Case of Mitochondrial Encephalomyopathy (MELAS) with the Psychotic Features
上田 ゆかり
1
,
元村 直靖
1
,
野々村 安啓
1
,
岡村 武彦
1
,
米田 博
1
,
堺 俊明
1
,
古玉 大介
2
,
篠田 恵一
2
,
大澤 仲昭
2
Yukari Ueda
1
,
Naoyasu Motomura
1
,
Yasuhiro Nonomura
1
,
Takehiko Okamura
1
,
Hiroshi Yoneda
1
,
Yoshiaki Sakai
1
,
Daisuke Furudama
2
,
Keiichi Shinoda
2
,
Nakaaki Osawa
2
1大阪医科大学神経精神医学教室
2大阪医科大学第1内科学教室
1Department of Neuropsychiatry, Osaka Medical College
2The First Department of Internal Medicine, Osaka Medical College
キーワード:
Mitochondrial encephalomyopathy
,
MELAS
,
Psychotic features
,
Maternal inheritance
,
Genetic carrier
Keyword:
Mitochondrial encephalomyopathy
,
MELAS
,
Psychotic features
,
Maternal inheritance
,
Genetic carrier
pp.711-716
発行日 1992年7月15日
Published Date 1992/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903270
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【抄録】 MELAS型ミトコンドリア脳筋症の1例を報告した。23歳時より発作性嘔吐および強直間代けいれん発作が計4回出現し,3回目および4回目の発作消失数日後より,急激に意識変容と精神運動性興奮を伴った幻覚妄想状態を呈し,抗精神病薬投与にて速やかに静穏化した。血液生化学検査において,乳酸,ピルビン酸値の上昇,頭部CTにて両側基底核に高吸収域,MRIにて同部に低信号域を認め,さらに筋生検のゴモリトリクローム染色にてragged red fiber,チトクロームCオキシダーゼ染色にて欠損線維が認められた。
本症例の近親者にミトコンドリア脳筋症を思わせる臨床症状を呈したものは見当たらないが,弟の頭部CT,MRIにて軽度ながら発端者に類似した所見が認められ,保因者の同定にCT,MRIの有用性が示唆された。
本症例の精神症状は症状性精神病として位置づけられると思われるが,性格,知的レベル,環境などの要因も精神症状発現に関与していると考えられた。
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