Japanese
English
総説
肝臓の支配神経
Nerves of the Liver
和氣 健二郎
1
Kenjiro Wake
1
1東京医科歯科大学医学部解剖
1Department of Anatomy, Faculty of Medicine, Tokyo Medical and Dental University
キーワード:
liver
,
innervation
,
sinusoid
,
hepatocyte
,
stellate cell(fat-storing cell)
Keyword:
liver
,
innervation
,
sinusoid
,
hepatocyte
,
stellate cell(fat-storing cell)
pp.695-702
発行日 1993年8月1日
Published Date 1993/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900514
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I.はじめに
Korolkow(1893)がメチレンブルーを用いてハトの肝臓に分布する神経線維を記載してから一世紀が経過した。この間,神経線維検出法は,鍍銀法,髄鞘染色法,蛍光法,電子顕微鏡,酵素組織化学,免疫組織化学へと,それぞれの時代を反映して発展し,肝支配神経の性状と分布が次第に明らかになり,さらに生理学的手法や標識法の導入がその中枢の所在をつきとめてきた。一方,肝臓の物質代謝に対する支配神経の影響が早くから生化学者の関心を集めた。この総説ではこれらそれぞれの方法で得られた所見を紹介し,今日における肝の支配神経像をつくりあげる一助としたい。一般に器官に対する神経支配の意義を問うとき,当然のことながらその器官自体の構造機能が充分且つ正しく認識されなければならない。この一世紀に肝臓の組織構成は誤解が誤解を生み大きく混乱した。その意味から肝の神経支配に残された課題も多い。
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