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Warren (New Engl. J. M., 257: 685, 1957.)は大動脈弧の粥状硬化性閉塞1例,左鎖骨下動脈と左頸動脈分岐部の閉塞1例を報じ,外科治療で前者は治癒したが,第2例は鎖骨下動脈をそのままにしておいたので,右頸動脈を圧迫すると術前と同じ脳阻血症状のおこることを報告している。Reivitch (N. E. J. M.,: 265:878, 1961.)によると椎骨動脈分岐前の鎖骨下動脈を閉塞すると脳血流は40%ほど減るが,血流は脳底動脈系を副行路としてそこへ流れこむという。つまり同側頸動脈血流が代償的に増加し,同側椎骨動脈を上から下へ流れる血行ができあがる。Reivitchはこれをsubclavian steal syndromeとよんだ。著者例第1例48才男,4年来失神・複視・左筋弱で入院,かつて外傷性てんかんで治療されたことあり。右腕血圧130/70,左60/0,左鎖骨下・左上腕・左撓骨・左尺骨の動脈に脈拍なし。精神神経学的にやや昏迷,脳神経正常,瞳孔等大・反応正,反射左右対称的,左上肢萎縮のみ著明。EEGで限局性変化なし。動脈造影で左鎖骨下動脈が弧部において閉塞し,その末梢の椎骨動脈は代償的に拡大。手術。弧より2cmの鎖骨下動脈に粥状硬化性閉塞あり,endarterectomy。術後13日まつたく無症状となる。第2例84才男。高血圧にて入院したことあり,失語・歩行失調の既往あり。confused, expressive aphasiaをみる。右血圧180/90,左0/0,左はどこにも脈拍ふれず。脳神経正常,瞳孔等大・反応正,腱反射対称的,ヘパリン療法をはじめた。7時問にして突然低血圧となり死亡す。剖検にて右冠動脈の急性閉塞あり。左心耳に器質化栓塞。左鎖骨下動脈は弧よりの分岐部近くにピラミッド型の器質化栓塞あり。以上のように50才近い男に多く症状は脳底動脈閉塞に近い
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