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特集 頸部血管障害
Subclavian Steal Syndrome—その病態と臨床症状について
Subclavian steal syndrome:Its pathophysiology and clinical features
田崎 義昭
1
,
沢田 徹
1
Yoshiaki TAZAKI
1
1北里大学医学部内科
pp.1413-1421
発行日 1972年10月20日
Published Date 1972/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205691
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はじめに
Subclavian steal syndromeは,1960年Con-torni1)によつてはじめてその存在が報告され,ついで1961年Reivichら2)によつてその特異な病態が明らにされた症候群である.すなわち,鎖骨下動脈起始部の閉塞と同側椎骨動脈の逆行性血流があり,臨床的には患側上肢の疼痛,易疲労性,知覚異常などとともに,めまい,複視,耳鳴,構音障害などの脳幹障害を主とする神経症状を呈する症状群をいう.そしてこれらの症状が上肢の運動によつて誘発もしくは増強することがその特徴のひとつとなつている.本症候群では,患側上肢の血流が反対側椎骨動脈を経て同側椎骨動脈から逆行性に供給されており,運動などによつて上肢の血流需要が増大すると本来脳へ行くべき血液が上肢の方へ奪われ,脳虚血を起すために上記のような神経症状が発現する,とされている2).本症候群の血行力学的な病態が脳血流を鎖骨下動脈灌流領域に奪う(steal)ことにあるから,New Engl. J.Med.のEditorialは3)これを"subclavian steal"syndromeと名付けた.
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