書評
—編集 内藤 明彦・小柳 新策—進行性ミオクローヌスてんかん
清野 昌一
1
1国立療養所静岡東病院てんかんセンター
pp.1148
発行日 1989年11月1日
Published Date 1989/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206430
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本書には,進行性ミオクローヌスてんかん(PME)の臨床と病理,生化学そして遺伝学,分子生物にわたる研究の最前線がくまなく紹介されている。PMEは,家族性に発生し,病勢が確実に進行し,治療法がなく,最後は死にいたる最たる難病であるが,わが国では疫学調査がされたことはなく,医療・福祉体制は皆無に等しい。PMEをもつ患者の多くは,精神病院で死んでいるものと思われる。
てんかんの国際分類(1989)では,PMEは特異症候群に組み入れられているが,それぞれのPMEが疾患単位であることを,本書はくまなく伝えている。とかく難解であったPMEの体系が,Lafora型,脂質症型,そして変性型の3つの流れにまとめられてきた研究の歴史は,探偵小説の謎解きを読むような知的な刺激を与えてくれる。
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