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編集後記
中西 孝雄
pp.295
発行日 1988年3月1日
Published Date 1988/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206080
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- 文献概要
40年以上もの長期に亙り平和な時代を過し得たことは,歴史的にみた場合,わが国では稀な出来事であるが,我々人生にとっては大変幸せなことである。今や各学問領域が目覚ましく進展し,先端技術の発展に伴い経済的にも豊かとなり,多数の雑誌が刊行され,情報過多の時代ともなっている。臨床神経学領域においても多数の雑誌が発行されているが,本誌は幸い40年という長年に亙る立派な伝統を有しているため,時代に即応した特有な素晴しい原著論文が多数投稿されており,編集委員の一人として大変有難く感じている。
本誌がスタートした当時は,敗戦後間もない時代であったため,わが国は経済的に恵まれず,衣,食,住の生活にも余裕がなく,学問的に動き難い,わびしい時代であった。一方,当時は円安のため外国誌が高価であり,コピーすることも不可能であったため,論文,著書などは,図書館で読まざるを得ない時代であった。そのような環境の下で本誌がスタートしたことは,臨床神経学領域の医師にとって大変有難いことであった。当時は,本誌に関連する学会とその機関誌が全くなかったからでもある。本誌に立派な論文が,今もなお多数投稿されているのはその所為であろう。
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