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編集後記
中西 孝雄
pp.606
発行日 1976年6月1日
Published Date 1976/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203901
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- 文献概要
「アトラス」のテーマとして"不随意運動"が取り挙げられるようになつてから3号目になる。不随意運動はいうまでもなく3次元の動きに,時間という次元が加わつた4次元のスケールで表わさるべき性質のものである。いくら巧緻な表現をもつてしても,文章のみで不随意運動を理解さすことは至難のわざである。これ程「百聞は一見にしかず」という諺がぴたりとあてはまる神経症状も少ないであろう。この企画案が出された当初,筆者は果してうまく行くかどうかひそかに危ぶんだ中の一人である。ところが実際に出たものを見ると,大友氏のoraldyskinesia,岩田氏のhyperkinésies volitionneiles,平山氏のpalatal myoclonusとすべてが力作ぞろいで,筆者の危惧が,単なる思い過しであつたことを痛感している。四次元の事象を二次元で表わすことは,もともと不可能なことであるが,3氏共独自の工夫をこらしての2次元の写真で四次元の変化を表わし,足りない部分を巧妙な文章で補つて,読書の理解に便ならしめている。今後しばらく連載される予定であるが,毎号毎号楽しみである。
その他,本号には「脳腫瘍と免疫」というup to dateの問題が高倉氏によつて総説され,7編に及ぶユニークな原著論文が掲載されている。
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