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編集後記
中西 孝雄
pp.92
発行日 1987年1月1日
Published Date 1987/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205844
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- 文献概要
平和な時代が40年余りも続いている母国日本で生き長らえていることは,大変幸せなことである。明治,大正,昭和の初期に比べれば,長期にわたり和かな日々の暮しが続いたため,先端技術が急速に進歩し,お陰でわが国の経済が恵まれるようになり,生活環境が改善され,医学・医療の面でも多大な発展がみられている。その恩恵をうけて高齢化社会になりつつあるが,それに伴い老年期痴呆患者も増大しつつある。このような社会的変化に対応するために,医学の面で今後取り組まなければならない大きな課題として痴呆への対応がとりあげられている。
嘗て痴呆は大した社会問題でなく,ほぼ放置された状態にあったが,今や国際的にも注目を浴びるようになった。アメリカでは経済情勢が落込んでいるに拘わらず,研究機関が数ヵ所に新設され,年間数十億円もの研究費が投入されていると聞いている。わが国ではいまだアメリカほどの研究施設や研究費の余裕はないが,多くの研究者により痴呆の問題がとりあげられ,研究成果があげられつつある状態である。
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