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骨格筋は個体発生および系統発生の研究から,1)体節に由来する体幹および体肢の筋,2)頭部の体節と考えられる頭部背側の筋原基に由来する眼筋,および3)咀嚼筋,表情筋などの鰓弓筋に分類される。これらの筋の支配神経を見ると,まず体幹および体肢の筋は脊髄神経によって支配される。なお舌筋を支配する舌下神経はもともと脊髄神経であったものが椎骨が頭蓋へとりこまれたため頭蓋骨から出るようになり二次的に脊髄神経と区別されるようになったといわれる。眼筋は動眼,滑車,外転神経の各神経によって,鰓弓筋は三叉神経,顔面神経,舌咽,迷走,副神経の各神経によって支配される。
次にこれらの神経の起始核を見ると図1Bのようにまず脊髄では頸髄から仙髄まで脊髄全長にのびる内側前角細胞柱があり体幹筋を支配している。頸膨大および腰膨大では外側前角細胞柱が加わり体肢を支配する。脊髄運動ニューロンが脊髄の腹側部に位置したのに対し,舌下神経核は脳幹の背側部に位置する。この脊髄運動ニューロンと舌下神経核の間をnucleus supraspinalis (脊髄上核)65)とよばれる運動ニューロンがつないでいる。脳幹の傍正中部で舌下神経核の細胞の頭側へ連続する位置に,眼筋を支配する外転,滑車,動眼神経核が位置する。また鰓弓筋を支配する神経の起始核は吻側から三叉神経運動核,顔面神経核,疑核の順に一連の細胞柱をつくり脳幹の腹外側部に位置している(図1A)。このように脳神経核が位置的に2群に分かれることの意義を指摘したのはGaskell (1899)12)である。すなわち板鰓類の頭部では中胚葉の背側部から発生する筋は動眼,滑車,外転,舌下神経が支配し,中胚葉の腹側部から発生する筋は三叉,顔面,舌咽,迷走,副神経が支配するという末梢の器官との対応から,Gaskellは機能的に前者の神経核を体性遠心性,後者の神経核を自律系以外の臓性遠心性と区分した。さらにその他の求心性の脳神経核を含めて検索しそれぞれの機能系は脳幹で細胞柱を成して配列しているという脳神経核全体の構成様式を呈示した。
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