特集 伝達物質と受容体
1.アミノ酸
抑制性
ショウジョウバエ脳のGABAニューロンの局在と役割
岡田 龍一
1
,
伊藤 啓
2
Ryuichi Okada
1
,
Kei Ito
2
1徳島文理大学香川薬学部
2東京大学分子細胞生物学研究所
pp.394-395
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100888
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●昆虫の神経伝達物質としてのGABA
ガンマアミノ酪酸(GABA)はヒスタミンとともに昆虫神経系における代表的な抑制性神経伝達物質で,ショウジョウバエ脳ではヒスタミンよりGABAニューロンの方がはるかに多い。他の動物種と同様に,GABAはグルタミン酸脱炭酸酵素(ショウジョウバエではGad1)によってグルタミン酸から合成される。放出されたGABAはシナプス後細胞のイオン型(GABAA)あるいは代謝型(GABAB)受容体と結合し,抑制性シナプス電位を発生させる。イオン型受容体にGABAが結合すると受容体のチャネルが開いて塩素イオンが細胞内に流入し,膜電位を下げる。代謝型受容体はGタンパクを介して,Gタンパク共役型内向き整流性カリウムチャネル(GIRKチャネル)によるカリウムイオンコンダクタンスを上昇させる。イオン型の抑制作用は急速で,代謝型は遅い。シナプス間隙の余剰のGABAはシナプス前細胞のトランスポーターによって再取り込みされる。ショウジョウバエでは興奮性のGABAシナプスはこれまで見つかっていないため,GABAニューロンは一般に抑制性と解釈される。
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