連載 症候学メモ・19
パレステジアとジセステジア
平山 惠造
1
1千葉大学神経内科
pp.700
発行日 1986年7月1日
Published Date 1986/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205746
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◆パレステジアparesthesia, par-esthésie, Parästhesieと,ジセステジアdysesthesia, dysesthésie, Dys-ästhesieとは洋の東西を問わず,混乱したままに用いられている。冷たいものを痛く感じる場合を一方の言葉で,日本流にいうしびれてビリビリと感じる場合をも一つの言葉で表現していることが多い。つまり,氷を当てて痛く感じるのをパレステジア,しびれ感をジセステジアと呼ぶ場合と,その逆の場合とである。
◆この混乱は,最近に始まったことではない。既にDelerineの「神経系疾患の症候学Sémiologie desaffections du systèrme nerveux」(1914年)の中で指摘されていることは拙著の中に記した通りである(神経症候学,p.712,1971年,参照)。筆者はある感覚を別の感覚として感じるのをパレステジア,しびれのような自発的な異常な感じをジセステジアと呼ぶことにしている。これに対し全く別の使い方をする人のいることは先に述べた通りである。
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