Japanese
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特集 神経発生の基礎
総説
網膜・視蓋投射路の発生と再生
Development and regeneration of retino-tectal projection system
藤沢 肇
1
Hajime Fujisawa
1
1京都府立医科大学第2解剖学教室
pp.203-210
発行日 1982年6月15日
Published Date 1982/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903538
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成体の神経系には膨大な数のニューロンがみられ,これらのニューロンは相互に組み合わさってきわゆて複雑な神経回路網を構成している。成体で認められる神経回路網が,個体発生の過程で,あるいは傷害をうけたのちの再生・修復の過程でどのように形成されてくるのかは,神経発生生物学(developmental neurobiology)の最も重要なテーマの1つである。
神経回路網の成立機序を解析するに際し,2つのアプローチの仕かたがある。1つは,実験系を極力単純化・均一化し,限定された問題に対して明確な答を引き出す方法である。培養された神経細胞を用いての解析がこの代表であり,これにより,神経細胞の様々な性状や,神経突起の成長のメカニズム,あるいはニューロン間の接着やシナプス形成に関する基本的な問題が解明されてきている。もう一方は,in vivo,ないしはin vivoでの3次元的な構造を極力損なわないような実験系を用いて解析を行なう方法である。生体内では,個々のニューロンはきわめて規則正しく配列しており,これらニューロン相互の組み合わせ(神経回路網)はそれぞれの神経系に特有なパターンを示している。ニューロン相互の組み合わせパターンは個体発生の過程できわめて再現性が高く,これが動物の行動発現の基盤となっている。
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