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小脳の機能を知るためには,小脳にどの様な情報が送られてくるか,その性質を理解しなければならない。小脳への多くの求心性投射が知られているが,組織学的に軸索終末の形態・分布様式の違いから,登上線維clim—bing fibreと苔状線維mossy fibreに分類されている。登上線維は,下オリーブ核が唯一の起始核として知られており85),プルキンェ細胞の樹状突起に終止している。苔状線維はその他の広い領野からの求心性線維で,顆粒細胞に終止している。その他に,縫線核や青斑核内にも小脳に投射する細胞があり独特の終末を形成している51),86)。この中で,脊髄に起始細胞がある脊髄小脳路は,脊髄一次求心性線維から直接入力を受けて系統発生的に古い,旧小脳paleocerebellumに苔状線維として投射している系であり(図1,陰影の部位),前世紀から,すでにGower's tractやFlechsig's tractなどが記載されている。1960年代になって,4つの脊髄小脳路,すなわち上肢に関連する吻側脊髄小脳路,楔状束核小脳路それに後肢に関連する背側脊髄小脳路,腹側脊髄小脳路が解析されてきた75)。
1970年代になり,解剖学の技術的な進歩により脊髄小脳路の詳細な解析がなされている。特に,松下らは起始細胞・上行路などの違いにより,楔状束核小脳路以外の脊髄小脳路を11のグループにまとめ64)66)(図2),それらの小脳での投射領域の違いを系統的に解析している65),68〜71)。これらのうち,後肢に関連する背側・腹側脊髄小脳路については生理学的に良く解析され,性質の違いがある程度明らかになってきているのでまずこれらの特徴から紹介するが,その前に,生理学的な解析の際に引用される各種感覚受容器の性質およびその求心性神経線維について簡単に説明しておく。詳細は生理学テキストブックを参照されたい。
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