連載 症候学メモ・5
知覚障害の採点法
平山 惠造
1
1千葉大学神経内科
pp.474
発行日 1985年5月1日
Published Date 1985/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205511
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◆前回の痛覚障害の検査の中で,採点法について簡単に触れた。今回はその採点法について,も少し詳しく述べてみたい。知覚障害の広がりや程度は病状の推移とともに変化する。以前と比べてどのように変ったかを知るのに,記憶にたよることは意外に正確でない。通常,広がりは人形図の中に境界線を以って示し,その程度については色鉛筆の濃淡で示していることが多い。広がりについては時として,皮膚上にインクなどで境界を書き入れて,写真に撮って記録に残すこともある。問題は障害の程度を如何に記録に残すかである。
◆筆者が既に長いこと行っている方法は次のごとくである。まず,その知覚の健常部と思われるところに知覚刺激を与え,そこを「10点」とすることを患者に説明する。次に,障害部に同じ強さの刺激を加えて患者に採点させ,答えをきく。これを要所要所について行い,知覚障害の範囲を示した人形図の中に記入しておく。色鉛筆は要らない。この方法で,痛覚,触覚,温度覚などの表在短覚の採点は全て可能である。時間的にも長くはかからず,外来診察の中で十分可能である。知覚障害があると判ったときは初めからこの方法を併用しつつ,知覚検査を行って行けばよいからである。
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