書評
—編集 竹内 一夫(杏林大学教授)—標準脳神経外科学 第3版
高倉 公朋
1
1東京大学・脳神経外科
pp.773
発行日 1984年8月1日
Published Date 1984/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205363
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竹内一夫教授編集の標準脳神経外科学の第3版が装いを新たに出版された。5年前に第1版が出版されて以来,平易な記述と共にわかり易い図表と写真が豊富に掲載されていて好評を博した教科書であるから,読まれた方も多いと思う。新版では特に脳神経外科領域で最近の数年間に新しく登場してきた分野のup-to—dateな内容の補足と改訂が肌理細かく行われている。医学はすべての分野で進歩し続けているが,脳神経外科においては特にその変貌は激しい。CTにしても新しい機器による画像は極めて鮮明で,5年前の写真では今日の診断には十分に役立たない。この重要性を増したCT画像が本版では全面的に改訂が行われており,それぞれの画像の記述も補足されている。新しい診断機器としては,ディジタル・サブトラクション撮影法,核磁気共鳴法(NMR),ポジトロン・エミッションCT (PET)や超音波検査法等にも言及してある。また治療面では最近の進歩が著しい脳血管障害の手術成績,脳動脈瘤の手術適応,もやもや病の診断基準,三叉神経痛に対する神経血管減圧術,脳浮腫のCTによる分類,下垂体腺腫の新しい分類から内分泌学的知見等が補足されて,今日の脳神経外科学進歩の動向がよく盛り込まれている。
本版のもう一つの大きな特徴は,巻末に147項目の問題が付け加えられている点である。重要事項のセルフ・チェックポイントと命名されているが,さらにその中から62項目が選ばれて臨床上最少限必要な重要事項として指定してある。
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