連載 医療と社会 ブックガイド・16
大熊一夫の本
立岩 真也
1
1立命館大学
pp.394-395
発行日 2002年5月25日
Published Date 2002/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903205
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医療社会学を一回休む.とはいえ連続性はある.前々回紹介した『医療社会学を学ぶ人のために』(世界思想社)の「医療施設」で,金子雅彦は「医療施設の研究には,医療サービスの受容者,つまり患者サイドに立って医療施設の世界を考察するアプローチがある.日本ではこのテーマの研究は皆無に近い(ルポルタージュとしては,大熊一夫『ルポ・精神病棟』などがある).」(p. 92)と記した上で「欧米におけるこのアプローチを代表する研究」として前回取り上げたゴッフマンの『アサイラム』の紹介に移るのである.
1970年代に生きていた人の中には『ルポ・精神病棟』という本を覚えている人がいると思う.この本の著者,大熊一夫は,1963年から朝日新聞社で新聞記者,『週刊朝日』『AERA』に関わった後,1990年退社,フリージャーナリストとなる.1998年から3年間大阪大学(人間科学部・大学院人間科学研究科)の教員(ソーシャルサービス論)も務めた後退職.今はまたフリージャーナリスト.
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