書評
—Benjamin Gerson,M.D.(Department of Pathology, Harvard medical School and New England Deacones Hospital, Boston, Massachusetts)—Essentials of Therapeutic Drug Monitoring
海老原 昭夫
1
1大分医科大学・臨床薬理学
pp.736
発行日 1984年8月1日
Published Date 1984/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205357
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薬の数は夥しいが,最も薬らしい薬というものは,何mgという極めて微量で明らかな効果を示す。それは,体には薬に対して特に敏感な蜴所,すなわち受容体というものが存在するからであるとされている。薬の投与量が何mgという微量であるから,体の中における薬の濃度は又非常に小さいものとなる。それは何ng/mlというような値である。ところが最近ラジオイムノアッセイ,エンザイムイムノアッセイ,高速液体クロマトグラフィーなどの微量分析法が発達し,この何mgというような微量の薬物を測定できるようになった。
薬理作用を知るには受容体部位における薬の濃度が重要であるが,実際にこれを測定することは一般に不可能である。しかし,多くの場合に受容体部位に到達する前段階としての血液中の薬物濃度が薬理作用とある程度のよい相関を示すことから,薬理作用の指標として血中濃度が盛んに測定されるようになった。とくに血中濃度の有効域と中毒域が接近した,いわゆる安全域の小さい薬について血中濃度を測定し,この値を基に適正な薬物投与を見出して行こうということが行われるようになった。これが血中薬物濃度モニタリングtherapeutic drug monitoringである。
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