書評
—竹内 一夫 著—頭蓋内石灰化像
高橋 睦正
1
1秋田大学放射線科
pp.536
発行日 1974年5月1日
Published Date 1974/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203547
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頭蓋単純撮影は神経放射線学の基本であり,この読影に習熟することは神経放射線学の第一歩であるといえる。頭蓋単純撮影から得られる所見のうち,最も重要なものがいうまでもなく頭蓋内の石灰化像で,石灰化像の所見から診断上きわめて有用な情報の得られることが少なくない。単純撮影の頭蓋内石灰化像は,脳血管造影の腫瘍血管像に相当するといつても過言ではないほど読影上重要といえる。
このたび本書を著わされた竹内一夫教授は古くから頭蓋単純撮影に興味をもたれ,これまで数多くの著書,論文を著わしておられる。著者は脳神経外科医であるが同時に,著名な神経放射線医neuroradiologistでもある。このような著者が頭蓋内石灰化の本をあらわされたことは,最近ようやく注目されるようになつてきた神経放射線学のためにも,まことに喜ばしいことである。また,X線医療被爆が問題になりつつあるとき,単純撮影という被爆線量の最も少ない放射線診断法から,最大の情報を得る方法にもつながり,本書の発刊は誠に時宜を得たものといえよう。
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