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あとがき
平山 恵造
pp.96
発行日 1984年1月1日
Published Date 1984/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406205257
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- 文献概要
過日の編集委員会で本誌に新しい一つの特別なコラムが設けられることが決まった。学問そのもののコラムではなく,その蔭にあり,学会や雑誌など学問の背景にあってこれを支えた,紙面には現われ難かった事柄を,それを知る先生方の記憶を以って綴って頂こうというものである。原著や総説は年を経ても文字に残るが,放置すれば過去のものとして消えてしまうこういう事象を紙面に留めることは,それなりの大きな意義をもっている。
このコラムを何と名づけるかについては当日名案が浮ばぬまま委員会は解散したが,結局,"特別寄稿〈創刊35周年を顧みて〉"ということに落着いた。その第1号が本号の巻頭を飾ることになった椿忠雄先生の玉稿である。私は昭和48年から木誌の編集委員をお引き受けすることになり,原著論文の審査や特集企画などにたずさわって来たが,此度の先生の"「脳と神経」の歩みと私"を拝読し,編集委貝として,更に責任を痛感するものである。今日の忙しい世相においては送られてくる原稿を精読し,意見を付して返送すること自体,他誌の分も併せると結構な仕事の負担で,ややもするとそれに追われて,医学雑誌とは如何にあるべきかという命題を棚上げにしてしまう時があるが,時々立ち止まって深く考えてみることの重要性を示唆されたように思われる。
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