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あとがき
平山 恵造
1
1千葉大
pp.731
発行日 1979年7月1日
Published Date 1979/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204445
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模擬患者simulated patientというのがある。何年か前,実際にみせてもらったことがあるが,なかなかうまく患者になつてみせるものである。無論その人達は本来健康人であつて,特定の訓練を受けることによつて患者らしく振舞えるようになつたのであるが,おのずから限界がないではない。瞳孔左右不同を出してみたり,筋萎縮を演ずるというようなことは無理である。演ずることができるのは「患者」の意志を通して引き出せる現象であつて,運動障害や知覚障害,そして意志によつてcontrolできる反射の異常などであろう。
元来,神経学的診療で知覚系は患者の主観が入つて,医師から客観的に正しくとらえにくい面があり,患者のいうところを信用するしか仕方のないものとされているが,従つて,知覚障害は模擬患者が取り組み易い演技の一つであろう。
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