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あとがき
平山 恵造
pp.121
発行日 1978年1月1日
Published Date 1978/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204194
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神経学に限らないが,日本には臨床医学の教科書がないという声をよくきく。学生向けの著書や,準教科書的に学生にすすめられている本がないではない。それぞれの著者なりに苦心し,考えて書かれた内容をもっている。
しかし,別の観点から教科書というものを考えてみると,現在の多岐に亘つて進歩した医学にあつては,大きな医学教育の中で,それぞれの専門領域を学生にどの程度まで教えるべきかを,十分な数の人々が検討し,それによって採用された項目・内容の範囲を以つて教科書が書かれるべきであろう。この頃のはやりの言葉でいうならminimum requirementをはつきりさせ,それに準拠して書かれた教科書である。現在のように,それぞれの専門家が,おのおのの立場だけから,学生に多くを強いても,受入れる学生の側にはおのずから限度があり,無埋である。
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