書評
—古江 尚(東京大学教授) 田口 鐵男(大阪大学教授)—抗癌剤の選び方・使い方
服部 孝雄
1
1広島大学
pp.179
発行日 1981年2月1日
Published Date 1981/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204717
- 有料閲覧
- 文献概要
制がん剤が臨床に広く用いられるようになつてからすでに久しい。この間多くのものが登場し,すでに捨てられたものもすくなくないが,反面早くから登場して今なお愛用されているものもある。もちろん今後も多くの制がん剤が新しく開発され,臨床試用に顔を出してくるであろうが,すくなくとも制がん剤の臨床応用の基本的な骨組みは一応ととのつたといえるのではなかろうか。
本書はわが国におけるこの面での第一人者である古江尚,田口鐵男両教授の対談という形で述べられている。したがつて大変読みやすく,仕事や勉強の合い間に,あるいは旅行の車中で,気軽に読めるような,そういうタイプの本である。制がん剤の開発の歴史からその特性,効果判定の問題,副作用などの総論に始まつて,各論としては脳,頭頸部,食道,胃,大腸,肝,胆,膵,肺,乳腺,あるいは婦人科,泌尿器科,皮膚科領域から血管疾患と,すべての領域をもれなく網羅して,投与法の実際について述べられている。しかも多くの部分が著者らの30年にわたる長い臨床経験にもとづいているところに,読者の大きな共感をよぶであろう。本書の初めに著者らは,"この書にのべられていることは,あるいは成書や薬剤の指示書に書かれていることと異なる点がいくつかあるかも知れない。
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.