書評
—編集 荒木淑郎(宮崎医科大学教授) 大友英一(沿風会病院副院長)—PO ケーススタディ・シリーズ 神経病ケーススタディ—71例のPO研修
北村 勝俊
1
1九州大学
pp.60
発行日 1981年1月1日
Published Date 1981/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204700
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ポリクリニクで学生と問答を交わしてみると,専門課程の三年次学生と四年次学生とが格段に違うことがよくわかる。知識量もさることながら,"何を求められているか",つまりは質問されそうなことについて予め考えて置く余裕ができてくるように思われる。自ら問題点に気付き,自分なりにそれに対する解答を考えるのは医師にとつても基本的な態度であろうが,中には"わかりません"といつたきり,それ以上の思考が重く停止してしまうものもいて,そのような学生との対話は勢い原理的なものとならざるを得ない。問題は哲学的様相を帯びてきて一層難しくなり,ついつい時間を取つてしまう。卒後研修の場においても程度の差こそあれ状況は同じである。
この本には"PO研修"と銘打つてあり,何が書いてあるかと思つて早速開いてみた。ここ数年来,殊にアメリカからケーススタディもしくはケーススタディによるセルフアセスメントが数多く発刊される。古くはNeurologic CPC’s of the MGH(Castleman & Richardson,1968)がある。この本は解答の素材に病理学的確認があるので迫力があり,繰り返し読む本の一つである。この"PO研修"もケーススタディであるので,実際の症例に即して考えを進めて行く面白さがある。一般の教科書のような全面的な記述ではないが,編者らも述べられているように,日常遭遇することの多い代表的な疾患が選ばれている。
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