書評
—編集 亀山 正邦(住友病院院長・京都大学名誉教授)・荒木 淑郎(熊本大学教授)—神経疾患の診かた 難しい症例をめぐる診断過程の着眼点
祖父江 逸郎
1,2
1名古屋大学
2国立療養所中部病院
pp.242
発行日 1989年3月1日
Published Date 1989/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206271
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神経疾患診断の過程には,いくつかのプロセスがあり,これらの総合により病名がつけられる。病歴聴取を始め,ベッドサイドにおける詳細な臨床観察,各種の神経学的補助検査,その他の一般臨床検査などを通じ,患者側からの諸種の情報を蒐集し,これらの情報を様々のカテゴリーに整理,統合することにより,機能的か器質的か,病変の部位,拡がり,性質,要因などの病態を推定し,さらに,これまでに作り上げられてきた疾病概念についての情報を参照しながら,病名診断を行う。この過程は,神経疾患に限らず,多かれ,少かれ各領域の疾病診断に共通であるが,神経疾患では,他の領域の疾患にくらべ,この過程での各要素内容が複雑多岐にわたり極めて多彩であり,したがって推理,評価の仕方にも独自のユニークさがあるだけに,多くの興味と関心が寄せられている。
最近の新しい診断技術の開発に伴い,疾病診断に大きな変革がもたらされ,神経疾患の診断過程への影響も少なくないが,神経疾患では,その性質上,まだ技術革新の枠外におかれていることが多く残されている。
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