書評
—編集 田崎 義昭(北里大学教授)・吉田 充男(自治医科大学教授)—New Integrated Medical Lectures「神経病学」
植村 研一
1
1浜松医科大学
pp.503
発行日 1980年5月1日
Published Date 1980/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204584
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臨床神経医学(神経内科,脳神経外科,小児神経内科,神経耳科,神経眼科など)は,医学生にとつても一般実地臨床医にとつても,最も難解な臨床分野の一つであろう。これはその基礎となる神経科学(神経解剖学,神経生理学,神経生化学など)が複雑,難解なためであろう。しかし,本書のまえがきにも述べられているように,臨床神経医学の実践に必要な基礎神経科学の知識はそれほど膨大かつ難解なものではない。要はその教育の仕方にある。従来のごとく基礎神経科学を臨床との関連を軽視してそれぞれ個有の学問体系としてのみ教育すれば,難解のため学生が拒否反応を起こすのは当然であろう。
近年医学教育改革の一環として,器官系別統合カリキュラムや問題立脚型の教授・学習方法が新設医科大学を中心に採用されてきているゆえんはここにある。このことは,難解とされる神経医学において特に強調されている。しかしこの新しい統合カリキュラムにおける神経系の学習を助ける教科書のなさが,こうした新しい授業の担当教官の悩みであつた。
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