書評
—編集 田崎義昭(北里大学教授) 吉田充男(自治医科大学教授)—NEW INTEGRATED MEDICAL LECTURES 神経病学 第3版
田代 邦雄
1
1北海道大学神経内科
pp.546
発行日 1989年6月1日
Published Date 1989/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206326
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このたびNIMシリーズの神経病学〈第3版〉が刊行された。本書は,1979年に第1版が発行され,そのユニークな講義形式が好評であった。1984年に第2版,そして今回の第3版の出版となったが,この間の神経病学の発展は目ざましく,多くの部分に新たな知見,進歩が追加され,単なる改訂版というよりも新刊書と言うこともできる内容となっている。
神経病学は,とかく治らない難病が多く,神経の機能も複雑でとりつきづらいと考える人が多い。しかし,神経学こそ,その「構造と機能」をまず知り,「神経病の主要症状とその病態生理」を理解することで正しい診断が理論的につき,それらの疾患の治療や病因解明に関する研究への可能性を秘めている学問であるということができる。原始的とも思えるようなハンマー,ピン,音叉,眼底鏡などの診察用具を駆使して臨床診断をつけ,近年その進歩の著しいCT, MRIさらにはSPECT,PETまでも利用し確定していく時代となり,また,新たな疾患概念の提唱や治療法の開発,そして分子生物学的アプローチによる遺伝子レベルでの異常の証明もはじまっている。
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