書評
—編集 田崎 義昭(北里大学教授) 吉田 充男(自治医科大学教授)—New Integrated Medical Lectures「神経病学」
濱口 勝彦
1
1埼玉医科大学
pp.291
発行日 1980年3月1日
Published Date 1980/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204556
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- 文献概要
本書の特徴は,「神経系の解剖・生理および障害」,「主要症状の病態生理」,「各種神経疾患」に3大別して,非常にていねいに解説してある点である。従来から一般に神経疾患はとつつきにくいものとして敬遠される傾向にあるが,それは神経疾患の診断に神経系の解剖と生理機能の知識が要求されるからであり,また「神経疾患は治らない,治療法がない」という考え方が比較的広くいきわたつているためである。このような一般の傾向に対して,神経疾患をもつと身近なものとして受けとめてほしいという気持で書かれたのが本書であろう。その意味で,まずLecture 1の「神経病診断のすすめ方」を読まれるとよいと思う。一見複雑難解と思われる神経疾患の診断も,「一定のルールさえ覚えれば,ベッドサイドの所見のみからほぼ推定でき,興味あふれるものになる」とはつきり提言しておられ,そのルールが要領よくまとめられている。また「治療ができる神経疾患」が表示されているので,実際の臨床上有用である。
神経疾患の診断に重要な神経系の構造と機能については,Lecture 2から7に述べられているが,単なる解剖・生理の記述のみでなく,それぞれの部位の障害による病態・症状が要領よく各項目の中に含まれているので,臨床診断に役立つであろう。
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