書評
—編集 田崎 義昭(北里大学教授) 吉田 充男(自治医科大学教授)—New Integrated Medical Lectures「神経病学」
亀山 正邦
1
1京都大学
pp.441
発行日 1980年4月1日
Published Date 1980/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204577
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編者らはまえがきの中で「……学生や医師の中には,神経病ときいただけで判りにくいものとして敬遠するものが少なくない。それは,神経解剖学,神経生理学,神経生化学,神経薬理学などが,それぞれ膨大な学問的背景を有し,時に難解複雑であることも一因である。……しかし神経病学を理解するに当つての基本的な基礎事項はそれほど膨大なものではない。……基礎的事項をも含めて神経病学を系統的に理解させるような教科書は少ない……」。神経学の基礎から臨床の大筋までを系統的に学びうるように企画されたのが本書である。本書はLecture 1からLecture 33にわたつて,主として北里大学および自治医科大学の神経学のスタッフによつて分担執筆されている。各Lectureは,1時間半程度の内容になるように,分類整理されている。神経病学の診断のすすめ方,大脳,間脳の機能とその異常,脳幹・小脳の機能とその異常,脳神経の障害,脊髄の機能とその異常,と,Lecture 7までは,神経の機能と構造との関連が述べられている。さりげなく書かれてはいるが,本書を通読したあとで,これらの部分をもう一度読みかえしてみると,判りやすくするために,いかに著者らが努力をしているか,気付くであろう。たとえば,一般には難解とされる失行や失認についての解説も,具体的にわかりやすくされている。しかも,決して省略はされていない。
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