書評
—P. B. Beeson. W. McDermott 著 小坂 樹徳 監訳—セシル内科学(原書第14版)
村尾 誠
1
1北海道大学
pp.176
発行日 1979年2月1日
Published Date 1979/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204373
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このたび,大幅な改訂のなされたセシル内科書(第14版)が小坂樹徳教授監訳の下に、訳出された。さきに,ハリソン内科書(第7版)が吉利和教授監訳の下に出版されているので,ここに米国の内科学教科書の双壁が日本文として容易に親しむことができる便宜が与えられたことになる。原書に親しむべしとは言うものの,やはり原文から遠ざかりつつあるのが今日の趨勢である。両者を比較すると,ハリソン書は総論的記述にすぐれており,各章ごとに始めから読み通して理解を深めるのに適している。これにくらべてセシル書は,もとより総論的記述もなされているが,各論的記述が極めて豊富なことに特色があつて,詳細周到な索引とあいまつて,問題のあるごとに疾患概念を的確に知るのに便利にできていると言えよう。
訳書の面から両書を比較すると,ハリソン訳書は,全2702ページ(1ページ約1872語),4分冊,正常値表など付録9ページ,定価全57,000円であり,一方このセシル訳書は1936ページ(1ページ約2,650語)全1冊,正常値などの章11ページ定価28,000円である。また,この14版改版に当つては治療に関する新しい進歩を織りこんだと序文にも記されている通り,抗菌療法,免疫抑制剤,呼吸不全の処置,食事療法,腎不全の管理,薬物中毒・嗜癖対策,末期患者の医療などについて今日の知識がよく盛られていることは重宝であろう。
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