Japanese
English
総説
失語症—言語症状と臨床的側面
Aphasia:Aspects of Symptomatology and Clinical Procedures
笹沼 澄子
1
Sumiko Sasanuma
1
1東京都老人総合研究所
1Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology
pp.489-504
発行日 1977年5月1日
Published Date 1977/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204064
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序文
失語症患者にみられる言語機能の崩壊は,正常な言語行動の観察からは予測しがたい特異な様相を呈する場合が多く,過去世紀あまりにわたって多数の専門領域の研究対象となつてきた。その主なもののみをあげても,神経学,心理学,言語学,さらに比較的最近になつて発達をみた言語病理学speech pathologyないし言語障害学,などがある。
この最後の領域は,言語によるコミュニケーション機能にさまざまな障害を持つ人々のハビリテーションまたはリハビリテーションを究極の理念として約50年前に米国で生まれた専門領域であり,その守備範囲として,正常なコミュニケーション過程の究明と共に,正常な過程から逸脱した状態としての種々の言語障害に対する評価・診断・治療活動および研究活動の一切を含む1,2)。したがつて,失語症研究においても,言語症状そのものの包括的かつ系統的な観察と記述とに基づき,症状の根底にある神経心理学的メカニズムの本質を探ろうとする臨床的色彩の強い立場である。
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