Japanese
English
来日記念講演
—Arthur L. Benton—臨床神経心理学の諸側面
Aspects of Clinical Neuropsychology
Arthur L. Benton
1
,
笹沼 澄子
2
Arthur L. Benton
1
,
Sumiko Sasanuma
2
1Dept. of Neurology and Psychology, University of Iowa
2東京都老人総合研究所
1Dept. of Neurology and Psychology, University of Iowa
2Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology
pp.548-554
発行日 1975年6月15日
Published Date 1975/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202321
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本日,臨床神経心理学の現状について皆様とお話しする機会を与えられたことをたいへん幸いに思う。
臨床神経心理学は,実際には臨床神経学の一領域であるので,神経科医は無論この領域の発達の現状をよくご存じのことと思う。しかしそれ以外の専門医,たとえば内科医や精神科医などにはあまりよく知られていない分野であって,これらの専門医にもこの分野の現状をもう少しよく把握しておいていただきたところである。何故なら,たとえば脳血管性障害患者をみる機会は神経科医にくらべて,内科医のほうがはるかに多いはずであるし,また初期の大脳変性疾患例では,その主訴が精力減退とか,生きていくことに対する興味の喪失とか,抑うつ状態とかであるために,まず最初に内科医または精神科医の診療を受ける確率が高い。事実,初期の大脳疾患は,明らかな神経学的徴候,たとえば,マヒ,反射異常,視野の障害などが現れる前に,まず軽度の知的・情緒的変化という形で現れる場合が多い。したがって,医師は大脳疾患と関連していろいろな形で現れ得る行動上の変化というものに対して,常に注意深い目を向けていることが重要である。
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