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Addison病(AD)とspastic spinal paralysisの合併については最初Neusser & Wiesel (1910)が報告したが最近はadrenocortical diseaseでdiffuse cerebral sclerosisを合併するものはadreno-leukodystrophy=(ALD)とされ,他にSchilder's disease with melano—derma, melanodermic type leukodystrophy, sudano—philic leukodystrophy with Addison's diseaseなどと呼ばれ,特徴的な臨床および病理学的所見を有する明確な疾患単位とされて来ている。ALDの典型的な例は10歳代までの若年者を冒すが成人のALDは極めて稀である。著者らはALDの成人variantと分類される例を経験した。
家族歴に特別のことはなく,小児期より色素沈着が多く,臨床症状,検査所見ともAddison病に合致するものであつた24歳の男子例である。22歳より徐々に進行性の両側麻痺が出現し,両側下肢には軽度の知覚障害があり,膀胱直腸障害も認められた。24歳でAddison病のcrisisで死亡した。剖検では中枢神経系を始め種々の臓器に淋巴球浸潤があり,副腎は萎縮を示し,皮質細胞は大きく空胞を有し,また奇妙な形を示していた。中枢神経系の変化は脳幹,脊髄の長神経路の不完全脱髄で,変化は錐体路に著明であつた。これらの部ではPAS強陽性非ズタン好性の物質を含む"epitheloid"histio—cytic cellが血管周辺に存在しており,電顕ではALDに特異的とされたlamellar profilesと同一のleaflet structuresが大量に血管周囲の組織体内に認められた。
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