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6年前における本書初版との御縁(医学界新聞902号,昭和45年6月29日)で,この改訂版に対する感想について再び求められた。どのように変つたか,先ずその概略を紹介する。初版と比較して,量的には頁数が25%増,写真・図で23%の増加がみられる。質的には編著者らの精進の跡が文献数で約50%もの増加によつて端的にうかがうことができる。次に,内容的にどのように改訂増補がなされたか,私の理解した範囲で一応順を追つて列記してみると,大要次の如くになる。
(1)頭蓋の発育と形状について可成りの増加がみられる。(2)脳血管撮影に関して,①新しい造影剤の出現にも対応している。②脳血管断層撮影が新たに加えられた。③椎骨動脈における動・静脈の解剖が全面的に書き改められた。(3)気脳撮影・脳室撮影では,①正常脳室像において,側脳室下角が模型図入りでわかり易くなり,②第四脳室では大幅な書き増しがみられる。頭蓋内space-occupying lesionでは,①脳ヘルニアに関して後頭蓋窩の正中偏位midline shiftの項が新たに加えられ,②後頭蓋窩腫瘍についても全部書き改められ,③間脳部腫瘍(基底核部腫瘍)も書き直されている。(5)脳血管障害においては山口昮一山形大教授が新たに参加され,特に脳内出血の項に大幅な増補がある。主なものとして,①造影剤の血管外漏出像,②血腫形成に伴うspace occupying signとその経時的変化ならびに,③血腫周辺の静脈の早期出現などがあげられる。(6)脳の萎縮および形成不全については気脳撮影所見に補足がある。(7)頭部外傷では血管撮影の中に合併血腫combined hematomaが加えられた。
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