書評
—R. F. Schmidt,J. Dudel,W. Jänig und M. Zimmermann 著—Grundriß der Neurophysiologie
佐藤 謙助
1
1長崎大学第2生理学
pp.1114
発行日 1976年10月1日
Published Date 1976/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203956
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本書は題名の通り,神経生理学の要所を図解しながら平易に解説している。8章に分けているが,第1章に神経細胞と神経系の解剖を述べた後,体性感覚性と内臓性の求心性線維が中枢神経系に入り,運動性と植物性の線維が中枢からでて筋,腺等の効果器に達する「入力→系→出力」関係を教えている。そして第2章で,神経生理学の原点である神経と筋の静止と興奮活動の両状態の電気的化学的機構を説明し,さらに興奮活動の種々相を教える。
第3章で筋終板とシナプスの活動に入り,興奮性と抑制性のシナプスの活動を起す伝達物質と活動を裏書する電気現象との関係等で興奮伝達機構を説明している。第4章では,反射活動における「促通」と「閉塞」の基本的活動を教えた後,筋紡錘に始まる単シナプス性自己受容反射が生体系の基本的な自動制御機構であることを示唆し,さらに多シナプス性反射機構にふれている。つぎの第5章では筋の収縮活動機構をとりあげ,単収縮の種々相,筋線維の微細構造と収縮との関係を説明した後,日常の運動時の筋収縮が単収縮の時間的加速(強縮)によることを教える。第6章で運動系に入り,筋紡錘と腱器官から始まる脊髄反射として伸展反射と相互抑制の機構を述べてから,多シナプス反射としての屈曲反射を解説する。そして,運動系の上位中枢に移り,錐体路系と錐体外路系と小脳等を説明する。ここで,姿勢保持機構における脳幹の役割を除脳動物,中脳動物等で解説し,最後に大脳と小脳をも含めた運動系の活動機構をまとめている。
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