書評
—本多 虔夫 著—神経病へのアプローチ—300のプログラム教程—(改訂第2版)
井形 昭弘
1
1鹿児島大学第3内科
pp.244
発行日 1976年3月1日
Published Date 1976/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203851
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先ずこの本を繙いてみると,内容が平易で図解入りでありかつ十分なスペースをとつてあるのでこれならすぐ読めるぞという気持をおこさせる。本多博士は神経学においてはわが国でも有数の専門家であるが,本書は,その序にもある如く,神経疾患を考える上に必要ではあるが最もとつつきにくいとされている解剖生理まで勉強する暇がないという医家や医学生に対し,その障害をとりのぞくために書かれたものである。われわれも学生に神経疾患を講ずる場合や一般の医家に神経に関する講演を行うにあたつては,先ず"やさしい神経学""とつつき易い神経学"という点に最大の重点をおいているが,この書は正にその目的にかなつているものといつてよい。
記述のスタイルは,先ず300の教程を組み各教程で各々1つの重要な事項を図説し,右側にはその概念を1〜2行にまとめ最も重要な概念は一部空欄とし欄外に記入してある。これは読んでいながらどうしてもそれを理解して挿入せざるを得ない形であり,記憶は確実に植えつけられその概念をマスターして次のステップに移れるようになつている。その理解を更に助けるために数行のnoteがつけられ興味を次につなぐ努力をしている。以上のような構成であるから一項をよみ終るのにゆつくりよんでも1〜2分ですむし寝そべつていても次々と頁をくる事ができる。従つて本書は試験の前の基本知識の整理や他の神経学教科書を読む前にパラパラとめくつてから始めるのに適している。
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