—本多 虔夫 著—神経病へのアプローチ

　クイズ的発想であるが，アイディアとしては面白いと思う。対象に学生や実地医家を考えておられるらしいが，おそらく両者ともほとんど解答ができないであろう。逆にいえばほとんど正解できるような専門家には本書は不要であろう。解答のできない方はくりかえすことによって神経学の知識を身につけていただきたい。くりかえすより外に手軽な方法はないであろう。

　本書の苦心はピットの作製にあるが，はたしてこれで必要かつ充分かというと問題はあろう。著者もおそらくその点は承知の上で，本書によって神経学への興味をそそわれた方は更に専門書によって知識を深めることを期待しているのではないだろうか。