書評
本多虔夫・重野幸次 著―脳卒中・神経筋疾患のマネージメントQOL向上のために
山崎 京子
1
1横浜市衛生局保健部
pp.761
発行日 1989年10月10日
Published Date 1989/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106139
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脳卒中,筋疾患は,いずれも神経,筋肉を侵すもので,その症状には共通のものが多い.しかも手足の麻痺,失語など日常生活に大きな支障をきたす.このような病気への相談に応ずる時,「今,この人に何をなすべきか」を判断するのに戸惑いを感ずることがある.
それは,その人の一生を見通すような長期算にわたるビジョンをもって,急性期の治療から慢性期の生活まで,その病期に必要な安全で的確な,しかも実行可能な具体的な援助が求められるからである.その内容も,患者への医療的援助だけでなく,「できるだけ自分のことは自分でやるという自助行動を達成する方向」を持ちながら,できない部分を家族が補い,家族で補えない部分を専門職や諸制度の活用などによる社会的援助で補う,というように,病気そのものを深く理解していると同時に,患者の病状や家族の介護力を見極めながらさまざまな変化をつかみ,それに対応した援助をすることが大事で,一面的,即事的な判断だけでは「見極め」が困難であるからである.
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