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カラーアトラス
中枢神経系の発生—III.細胞発生の第III期:グリアの発生
Development of the central nervous system:III. Stage III of cytogenesis: stage of neuroglia differentiation
北村 忠久
1
,
藤田 哲也
1
Tadahisa Kitamura
1
,
Setsuya Fujita
1
1京都府立医科大学第2病理学教室
1Department of Pathology, Kyoto Prefectural University of Medicine
pp.218-224
発行日 1976年3月1日
Published Date 1976/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203849
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I.中枢神経系発生第III期
—グリアの発生—
本シリーズ(I),(II)では,中枢神経系の発生初期にその母細胞であるmatrix cell (Mx cell)が増殖し自らの数を増す第I期,およびそれに引き続いてneuroblastがMx cellから分化してくる第丑期について述べた。そこで本章では第II期に引き続いて起こる第III期,つまりグリア産生の時期について論じよう。
第II期が終りに近づくと産1kされたneuroblastが外套層にたまるとともにmatrix layer (Mx layer)が次第に薄くなつてゆく。これから少し時が経つと突然外套層や辺縁層でDNA合成をする細胞が出現してくる(第1,2図)。これらの細胞はMx layerを離れてもDNA合成能を保持している点ですでにneuroblastとは異つた細胞である。この時期に3H-thymidine (3H-TdR)を頻回に投与し,脳の発育が進んでから固定すると各種のグリアにラベルが見られるがニューロンには標識されるものが全く検出されない。この事実はこの時期にDNA合成をしている細胞は将来グリアに分化する細胞つまりghoblastであることを示すとともに,glioblastはneu—roblastが作り終えられたのち初めて出現してくるものであり,両者は同一時期には作られないことを強く示唆している。今やニューロン産生能を失つたMx cellはむしろ"ependymoglioblats"と呼ぶべきと考えられる。こうして第III期が初まる。第皿期の初まりはニワトリの脊髄では野卵8日目,H.H.stage35ごろである2)。
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