Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
脳腫瘍の問題は,神経病理学や神経学に興味を持っている人たちにとっても,とっつきの悪い主題である。その理由を考えてみると,腫瘍というものが,一般に生体の示す可逆的な細胞変化の域を越えて,簡単には体系づけられない破格ずくめの変化を示すからであるといえるように思われる。このような病変を,組織や細胞の正常像を基準とする形態学的枠組みの中で理解しようとすること自身が無理なのである。
正常の細胞系は,もともと1個の受精卵から出発して,次第に増殖と分化を繰り返し,まず胎盤系の細胞群と体細胞の系列に分かれ,後者はさらに3胚葉への分化を経て全身各臓器の中に特殊化した組織を構成するにいたる。したがってこれらの細胞系はきわめて多様な分化を特徴とする。しかしこの多様性は驚くほど安定でありかつ再現性を持っている。病的な状態に置かれても,その病変が可逆的な幅の中におさまっている限り,細胞の示す形態学的変化は,その細胞の正常な像から連続的に導きうるような枠組みの中で理解できる。
Abstract
Ever since Bailey and Cushing proposed classi-fication of gliomas based on their scheme of histogenesis of the central nervous system, most brain tumors have been diagnosed on this scheme. However, it has been repeatedly criticized that this scheme fails to take oncologic changes of cells into consideration. Kernohan et al. (1949) claimed that all the brain tumors can be regarded as arisen from mature cells and be classified according to the neoplastic deviation by grading.
However, both these viewpoints are extremes.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.