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特集 第7回脳のシンポジウム
主題—グリア細胞
グリア細胞発生の一元論
Monophyletic theory of glial histogenesis
藤田 哲也
1
Setsuya FUJITA
1
1京都府立医科大学病理学教室
1Department of Pathology, Kyoto Prefectural University of Medicine
pp.18-21
発行日 1972年2月1日
Published Date 1972/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903339
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中枢神経系の発生において第Ⅲ期に入つた脳では(図参照)matrix cell(Mx)が急速にependymal cell(Ep)とglioblast(Gb)に変わるのが観察される2,3,6)。大脳においてこのような変化が起こるのは哺乳類一般を通じ妊娠の後半から末期にかけてであることが知られている。グリオブラストはDNA合成能を保持したままで外套層や辺縁層に移動して行く。グリオブラストはこのように活発な移動を行なうが大脳では当初に作られるグリオブラストの数が多いために出生前後になつてもまだ上衣下に多数のglioblast(付図のGb)を残した状態をとどめている2)。これらはリンパ球のような核をもち細胞質の乏しい細胞である6)。
Hortega9)はこれらの細胞がchoroid plexusや脳へ侵入するやや太い血管に伴う軟膜結合織から由来するものであると主張し,その考えは広く一般に信じられた。しかし上述のように上衣下層subependyrnal layerのこれらの細胞が外胚葉性のmatrix cellから直接変化したものであることが,これに先立つ発生過程の観察から明らかとなり6,8),数的にも連続的な関係が見出されるとともに2),上衣下細胞の形成にchoroid plexus(の中に含まれる軟膜結合織)のはたす役割に否定的な知見もまた知られるようになつてきた。
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