Japanese
English
特集 神経病理—第12回日本神経病理学会学術研究会より
シンポジウム—脳の発達とその障害
Ⅰ.正常脳の発達
中枢神経系における細胞発生
Cytogenesis in the central nervous system
藤田 晢也
1
Setsuya FUJITA
1
1京都府立医科大学病理学教室
1Department of Pathology, Kyoto Prefectural University of Medicine
pp.388-396
発行日 1972年6月10日
Published Date 1972/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903392
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
中枢神経系を構成する主な細胞は,19世紀末には,それまでに注目され研究の主目標とされた順に従って,スペイン学派により,neuron,macroglia(=astrocyte),およびこれに続く第3要素el tercer elemento9,51)に分類されていた。第3要素は,Cajalによって,突起の染まらない小形グリアと定義されていたが,これをやがてHortegaがmicroglia50)と命名しついでoligodendroglia52)をこれから区別して,ついにこれら2種の細胞でもって第3要素を置きかえるにいたった。この研究をめぐって一時Cajalとの間にかわされた激烈な論争について聞き及んでおられる読者も多いことであろう。小形グリアの発生の問題はこのような経過をたどって一応の結論53)に落ち着きHortegaによって見事に解決されたかのようにみえた。しかし実はそうではなかったのであって,今日その問題は再びとり上げられその概念は大きく変わろうとしている。その経過を明らかにすることは本論文の一つの目的である。
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.