徹底分析シリーズ Pressure
気道管理と圧—大切なのは圧より容積!
萩平 哲
1
HAGIHIRA,Satoshi
1
1大阪大学大学院医学系研究科 麻酔・集中治療医学
pp.772-775
発行日 2015年8月1日
Published Date 2015/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200347
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麻酔管理では血圧,気道内圧など圧力の計測は重要であり,モニタリングとして最もよく行われる。圧力は,圧電効果を利用した圧電素子を用いれば簡単に電気信号に変換できることもあり,最もよく計測されるが,生体において生理学的に重要なものは,圧力より体積である。例えば,循環管理においてしばしば利用される中心静脈圧(CVP)は,いくつかの条件が満たされていれば左室の前負荷,つまり左室拡張終末期容積(LVEDV)を評価する指標となる。ここで重要なポイントは,CVPをLVEDVの代わりに使用するには,“いくつかの条件が必要”ということである。裏を返せば,条件が満たされていなければ代用できない。気道管理においても同様のことがいえる。換気において最も重要なものは容積(体積)であり,圧力ではない。また,計測している圧力が本当に知りたい圧力を示しているかも考慮することが肝要である。
本稿では,物理学を基本にしたうえで,生理学的または病理学的に圧を考察する。
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