症候群・徴候・29
Weber (ウエーバー)症候群
平山 恵造
1
1順大脳神経内科
pp.85
発行日 1975年1月1日
Published Date 1975/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203650
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中脳の大脳脚内側を動眼神経が貫通する部位での病変によつて,病変と同側の動眼神経麻痺と,反対側の半身麻痺の生ずるのをWeber症候群といい,下交代性片麻痺であるMillard-Gubler症候群〔症候群19,26巻6・7号〕に対し,上交代性片麻痺とも称する。
Hermann Weber (独)が報告した(英文,1863年)大脳脚病変症例の症状が後にGrasset (仏,1900)によりWeber症候群と名づけられたのであるが,Weberの原典例では上記症状の他に半身麻痺に伴つた知覚障害か一過性に認められている。このことは今世紀に入つて書かれた教科書でも指摘されているが,これは病変の広がりによる随伴症状であることは申すまでもない。又,後年Brissaudは病変が大脳脚内側に限局しているときは上下肢の麻痺より顔面の麻痺の方が強いと注目している。これは大脳脚における身体部位的局在somatotopyの存否と関連する問題であるが,Weberの原典例ではかかる指摘はなく,むしろ顔,舌,口蓋麻痺の恢復の方が良好である。
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