特集 他科の視点・診療連携の観点でみる 母斑・母斑症Ⅰ
疾患別の概説――診療連携の視点を含めて
5.Sturge-Weber症候群
城所 博之
1
1名古屋大学医学部附属病院小児科
pp.262-267
発行日 2025年3月1日
Published Date 2025/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003388
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Sturge-Weber症候群(SWS)は,顔面ポートワイン母斑,脳軟膜血管腫,緑内障を三徴とするまれな非遺伝性の神経皮膚症候群であり,その発症には体細胞モザイクによるGNAQ遺伝子の病的変異が関与する.本症候群は,新生児期や乳児期に特徴的な皮膚病変や神経学的症状で診断されることが多く,てんかん発作,片麻痺,神経発達症などの多彩な臨床症状を呈する.診断には詳細な病歴聴取や身体所見に加えて,頭部MRIを含む画像診断,とくに軟膜血管腫の検出が重要である.治療は主に対症療法であり,ポートワイン母斑に対するレーザー治療,抗発作薬によるてんかん発作管理,緑内障治療,さらには低用量アスピリンの使用が推奨される.近年では分子標的療法を含む新たな治療選択肢も研究されている.本稿では,SWSの病因,臨床症状,診断法,治療の現状および予後について,多診療科にわたる包括的診療に焦点をあてて解説する.

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