Japanese
English
短報
脳神経細胞のアルコール硝子体類似の小体について
Alcoholic hyalin like bodies of nerve cells
小島 国次
1
,
小川 宏
2
Kuniji Kojima
1
,
Hiroshi Ogawa
2
1新潟県厚生連病理センター
2新潟大学脳研究所神経病理学教室
1Center of Pathology, Kooseiren, Niigata Prefecture
2Department of Neuropathology, Brain Research Institute, Niigata University
pp.1000-1001
発行日 1974年10月1日
Published Date 1974/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203609
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従来アルコール硝子体は,アルコール障害性肝疾患の肝細胞に認められ,ごく稀には飲酒に関係のない原発性胆汁性肝硬変症など2〜3の肝疾患でも,肝細胞に認めたという報告はあるが,肝細胞以外の細胞での出現の報告はなく,形成されないものと考えられていた1)。ところが1972年著者の一人小島は,肝細胞のアルコール硝子体とそつくりの小体を酒客の膵外分泌腺細胞にも見出すことができ,その知見は別紙に報告した2)〜5)。今回更にこの肝・膵のアルコール硝子体によく類似した硝子様小体を,2例の慢性アルコール中毒症で脳神経細胞にも認めることができたので報告したい。
[症例1] 57歳男性。飲酒歴は20歳頃から毎日焼酎2合程度。50歳頃から目まい,耳鳴,歩行障害,下肢知覚障害をきたしたが飲酒はつづけ,末期には四肢の強直,目をつりあげるような眼球運動異常,指南力低下,作話,幻視,せん妄,手指振戦などをきたし,肺炎をおこして死亡した。
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