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書評
—A. Dekaban 著,福山 幸夫・太田 富雄 訳—乳幼児の神経学
Neurology of Early ChildhoodNeurology of Early ChildhoodNeurology of Early Childhood
馬場 一雄
1
1日本大学小児科
pp.1187
発行日 1973年9月1日
Published Date 1973/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203376
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- Abstract 文献概要
Dr. Dekabanの「乳幼児の神経学」の原書は,われわれの医局の書棚にもならべてはあるが,正直なところ評者は,この翻訳が出るまでは本書に深い関心を持っていなかつた。まれな神経疾患について詳しい知識を得るためには記載が簡単過ぎるように思えたし,かと言つて,全体を通読して記憶するには大冊すぎるように思えたからである。
ところが,この訳書を拾い読みして見ると,重要事項は遺漏なく記載され,神経系の発達や診察法にはじまり,周生期障害,脳生麻痺,変性疾患等18章に分けられた本文の繁簡のバランスがまことにうまくとれている。著者の得意とする領域を詳しく書きたくなるのが執筆者の人情であるが,本書では詳しすぎる部分と簡単すぎる章節というようなアンバランスがない。これほど整理の行き屈いた書物は余り見たことがない。評者はかねがね,学問が進歩するほど情報量が増加して,蓄積された情報を利用する側から見れば,むしろ不便さが増して行くことを不満に思つていたが,本書を読んでこの不満はきれいに解消した。
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