書評
—J. W. Graef,T. E. Cone,Jr. 編集 福山 幸夫(東京女子医科大学教授) 監訳—小児治療マニュアル
川崎 富作
pp.407
発行日 1978年4月1日
Published Date 1978/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204231
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ボストン小児病院といえば世界の小児科学をリードする超一流の病院であり,その第一線で行なわれている治療法,治療指針とあれば,これはまさにわれわれ小児科医にとつて,"小児治療のバイブル"といつても過言ではあるまい。このたび,評者が最も尊敬して止まない小児神経学の泰斗,福山重幸夫重教授ならびにその一門によつてこの"小児治療のバイブル"が完訳されたことはまことによろこばしいことである。この困難にして意義ある仕事を多忙な日々の業務にたずさわるかたわら,成し遂げられた諸先生方に,あらためて深い敬意と感謝の念を捧げるものである。
一読して感ずることは,日夜小児の診療にたずさわるわれわれすべての医師にとつて,本書は,"百万の味方であり,最良の友である"と断言できる点である。まず,訳文が平易でとても内容がわかり易い。今まで多くのこの種の翻訳書にみられる,日本語としての違和感が全くないのである。はじめから日本語で書き進められた書物ではないかとの錯覚さえおぼえるほどの名訳である。さらに,読み進んで感ずることは多数の訳者によることを全く感じさせないことである。大抵,訳者の数が多くなると,どうしても訳文に統一方を欠き,読み難い個所が生れるものであるが,本書には全くそれがない。したがつて,いつ,どこで,どの部分を読んでも,何の抵抗もなく,内容が理解できるのである。
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