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編集後記
萬年 甫
pp.238
発行日 1973年2月1日
Published Date 1973/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203281
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- 文献概要
今月号と次号の2回にわたり,Raymond Garcinレイモン・ギャルサン教授を偲ぶ座談会の記事が掲載される。他誌では座談会記事によくお目にかかるが,本誌では古くはいざしらず,少くも筆者が編集委員の末席をけがしてからは企画されたことは一度もなかった。物珍らしく思われる方もあるかもしれないし,また原著掲載を至上とし純学術誌を目差す本誌にはふさわしくないと渋い顔をされる方もおられるかもしれない。あるいは逆に時々はものによっては載せるようにと賛意を表される方もあるかもしれない。われわれとしてもあくまで試金石のっもりである。その意味で活溌な御批判を得て今后の編集に資したいと思う。
それはともかく,このギャルサン教授という人は,日本では余り知られていないが,少くもヨーロッパの臨床神経学の世界では名声のとどろいていた人で,お読みいただけば分るように現在日本で臨床神経学者として活躍しておられる方々のかなり多くがそのもとに学んでいるのである。その意味では地味ながら日本の学界に少なからぬ影響をおよぼした人といい得ると思う。1971年2月になくなられたのであるから,そろそろ3回目の命日も間近い。生前お世話になるのみでむくいることの少なかつたわれわれとしてせめてもの恩返しにつつしんでこの座談会記事を霊前にささげ遺徳をしのびたいと思う。
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