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編集後記
萬年 甫
pp.716
発行日 1964年8月1日
Published Date 1964/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406206468
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- 文献概要
小川鼎三先生に伺つた話であるが,欧米人のなかでも勤勉をもつてなるドイツ人が日本人を評して"蜜蜂のごとき勤勉さ(Bienenfleiss)"というそうである。蜜蜂はただ本能的に働くのであつて,みずからの判断で事を処するわけではない。きこえはよいようでも,けつしてそのまま受けとるわけにはいかない。実際,日本人ほど身を粉にして働く国民があるだろうか。医局でも研究室でも,学会でも例外ではない。
しかし,それが正しく実を結んでいるとはけつしていえないように思われる。学会の演題にしてもその数の多いことは毎回驚くほどであるが,人の前で話すにしてはもう少し熟させるべきだと思われるものが少なくない。ただ雑音として騒々しく,右から左へと通りすぎて何の印象も残さぬものが随分あるのではないだろうか。これでは無駄ばたらきというほかはない。
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