書評
—佐野 圭司 著—脳腫瘍—その病理と臨床
喜多村 孝一
1
1東京女子医大
pp.1431
発行日 1972年11月1日
Published Date 1972/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406203214
- 有料閲覧
- 文献概要
著者の佐野圭司教授は,第5回国際脳神経外科学会の会長としてその準備に忙殺されている方であるが,暇をみつけてこのような書物を上梓されるとはそのタフ振りに驚嘆させられるのである。しかしながら入局以来約26年間の永い間,著者の後輩として,あるときは弟子として,またあるときは親友としてお付合いを願つてきた私は,著者の非凡な才能に常に舌を巻いているので,正直なところ,このような書物をものにすることは著者にとつてはそれほどの負担でないことも,またよく知つているのである。
著者の佐野教授は,ある年,日本脳神経外科学会総会で教育講演を依頼されていた。ときの会長は学会開催の何カ月も前に佐野教授に口頭でこのことを依頼しておいたのであるが,その後はとくに連絡することもなく当日に致つたようである。学会プログラムには教育講演の演題と佐野教授の名前がのつていた。ところが佐野教授はこれには全く気が付かず,丁度教育講演の始るべき時間には別の会場で別の講演に耳を傾けていたのである。教室員からの急の報せで慌てて教育講演の会場にかけつけた。それまでの間をもたせるべく適当に話しておられた会長が安堵の胸をなでおろしたのは言うまでもない。
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.